研究系及び研究施設の現状 195
桑 原 大 介(助手)
A -1)専門領域:核磁気共鳴
A -2)研究課題:
a) スピンエコー NMR 法の新たな可能性 b)
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N overtone 断熱的反転パルスを用いた R E D OR 現象の観測
A -3)研究活動の概略と主な成果
a) マジック角試料回転( MA S )とスピンエコー NMR 法の組み合わせは,これまでは もっぱら 固体状態のスピン系の 間接スピン−スピン結合を測定するために用いられてきた。我々はMA S条件下でスピンエコーNMR 法を炭素−炭 素(
13C–13C )2スピン系に適用した。その結果,今までに観測されたことのない複数の共鳴線が出現した。我々は付加
的な共鳴線の位置および強度を表す解析式を導いて,それらの共鳴線の位置が試料回転周波数と化学シフト等方値 差により決まることを見出した。さらに付加的な共鳴線は同種核間双極子相互作用が存在する時のみ生じることが わかった。
b)固体粉末試料中の炭素−窒素核間距離を測定するために開発されたR otational echo double resonance(R E D OR )NMR 法は,測定対象となるスピン系の窒素核を
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N で同位体置換しないと使えない。本研究では,天然で 99.6% の存在比 をもつ
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N をそのまま用いて R E D OR の実験を行うことを試みた。固体粉末試料中の
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N スピンは,大抵 1 MHz を超 える 核四 極子 結合 定数 をも つため ,いま まで はほ とんど N M R 測定 で利 用さ れた こと がな かった 。本研 究で は, overtone 断熱的反転パルスを使って
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N スピンの磁化を反転させることを行った。
B -1) 学術論文
H. FUJIMORI, D. KUWAHARA, T. NAKAI and S. MIYAJIMA, “ Transient 13C-1H nuclear overhauser effect in liquid crystal,” J. Phys. Soc. Jpn. 70, 1117 (2001).
D. KUWAHARA, T. NAKAI, J. ASHIDA and S. MIYAJIMA, “Real figure of two-dimensional spin-echo NMR spectra for a homonuclear two-spin system in rotating solids,” Mol. Phys. 99, 939 (2001).
B -2) 国際会議のプロシーディングス
D. KUWAHARA, T. NAKAI, J. ASHIDA and S. MIYAJIMA, “Novel structure discovered on two-dimensional spin-echo
NMR spectra for a homonuclear two-spin system in rotating solids,” Proceedings of 14th Conference of the International Society of Magnetic Resonance 130 (2001).
C ) 研究活動の課題と展望
MA Sを行っている粉末試料にスピンエコーNMR 法を用いると,核間距離に関する情報が簡単に手に入る。しかしながら こ の手法では,隣り合った炭素−炭素間の距離しか測定することができない。それは付加的な共鳴線の強度が非常に小さい からである。今後は,比較的長い核間距離をもったスピン系に対しても この手法を用いて距離情報を引き出すことを考えた い。また
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Nスピンのovertone断熱的反転パルスを用いたR E D OR の実験に関しては,
13C–14Nスピン系のハミルトニアンを 使った計算機シミュレーションを行って,最適な実験条件を求めることを試みる。